グラフィックデザインを最大限利用したブランディング
ビジネスからアートまで人々が何かしらの活動を行うときには、より多くの人に知らせるために不特定多数へ向けたコミュニケーションをはかる場面が増えてくると思います。あなたのことを知ってる人にも知らないひとにも活動を知らせて何かしらのアクションを期待することになります。それは多くの場合、文字や写真、音声や動画を使ったコミュニケーションであり、何らかの媒介するメディアを使うことになります。人と会話をするときにも話す順番や話し方次第で理解や印象が異なるように、文字やイメージをつかうコミュニケーションにもよりよく伝わる方法があります。期待する理解や感情を導くために情報の伝えかたを工夫することでコミュニケーションをより円滑に行うことができるのです。グラフィックデザインとはそのような場面でコミュニケーションをデザインするために用いられます。ひとつひとつのコミュニケーションの積み重ねが人の印象をつくるように、ブランディングとはデザインされたコミュニケーションがもたらす統一された印象をつくるためにもちいられます。それでは詳しく説明をしてゆきます。
グラフィックデザインとは?
そもそもグラフィックデザインとは何を行なっているのでしょうか?英語の"GRAPHIC"グラフィックを訳すと視覚芸術に属する絵や写真などの図像および活字のことです。つまり文字とイメージを基本的に指します。そして、"DESIGN"デザインとは複製物を作る前提で作られたその元となる図案や設計などのことを言います。画像や文字を使って魅力的に仕上げられた制作図案のことをグラフィックデザインといい、印刷物やウェブサイト・映像などのスクリーンメディアで見ることのできる状態になった複製されたもののことも同時に指しています。「このデザインいいね」という場合、実体のモノの価値ではなく元となっている色や形の設計のことをさすことになります。
ビジュアルコミュニケーションとメディア
ビジュアルコミュニケーションとは、視覚つまり目で見ることのできるものを通したコミュニケーションです。文字や写真などを通して人から人へと意思疎通をはかることをいい、メディアとはそのようなコミュニケーションの媒介になる印刷物やモニタなどのスクリーンメディアのことを指します。
ブランディングとは?
ブランドという言葉はみなさんご存知だと思います。スポーツ用品ならナイキやアディタス、コンピューターならアップルやマイクロソフト、自動車ならトヨタやBMW、高級バックならLUIS VITTON などが思いつくと思います。もともとは、酪農家が商品である牛に質の高さの証明として焼印で刻印し他の農家との差別化を図ったことにはじまり、烙印をする意味のbrandという動詞が語源となり差別化された商品や銘柄などをブランドと呼ぶようになりました。上にあげたようなブランドとして認知されている企業や商品は、ブランドとして認識してもらうためにビジュアルデザインに関して細やかな決まりごとを設けて活動を行なっています。そのことをブランディングと呼びます。ブランディングとは簡単に説明すると、『統一した印象を通して活動を行うこと』です。ひとつひとつのコミュニケーションの積み重ねが人の印象をつくるように、ブランディングとはデザインされたコミュニケーションがもたらす統一された印象と言うことができます。
なぜいまブランディングが重要なのか?
なぜ、いま小さな活動にブランディングが重要なのか? ブランディングはより秀でていることの証明のため、他との違いを際立たせるために行われてきました。しかし、やがて多くの企業や商品で同様の手法が取り上げられるとそれは一般化され、より複雑な競争に向かっています。わたしたちが普段接しているものの多くはすでにすぐれたブランディングが施されたものです。マスマーケットを対象とした大企業の行うものとローカルな小さな活動との間にはそういった意味で大きな差が開いていました。インターネットの登場以降、小さなアイデアにもスポットがあたりはじめ、SNSやウェブサイトを通したコミュニケーションでは個人が影響力を発揮できる土壌が出来上がり、人々の行動もTVや店舗型の従来の行動方式からオンラインベースへと変化をしています。マスとローカルが交差するオンラインの上で規模の大小に関わらずアイデアをアピールすることで多くの機会を得ることが可能となってきています。そのような状況の中では信頼を作り上げる上でグラフィックデザインとともにブランディングがとても重要な役割を担っています。大企業で培われたブランディングのエッセンスを用いて、小さな活動やスモールビジネスに最適化した方法を『小さなブランディング』と称してこのサイトでは扱っています。
ブランディングには何が必要なのか?
ではブランディングには何が必要なのでしょうか?新しく会社を立ち上げたり新たなサービスを企画するときには必ず名前をつけることになると思います。ネーミングの際には様々な観点からその存在を捉えてゆきます。意味や希望をこめたり、類似のものと差別化するために言葉を選んだり、覚えてもらうためにわかりやすくなる工夫をしたりします。ブランディングの基本も同じように、自分の立場から発したい自分自身についてのこと、受けるひとの立場にたった際の自分の見え方について考えて行くことになります。それを少し専門的な言葉で言い換えると、『アイデンティティ』と『シンボライズ』と呼び、それがブランディングの核となります。
アイデンティティ
まずは、『アイデンティティ』です。和訳すると同一性や独自性を意味する言葉です。なぜ、その活動やサービス・製品が存在するのか、どのような経緯や理由で存在しているのかを自己認識し、理念として言語化して他のひとに簡潔に説明する必要があります。とくに、アイデアや考え方などの曖昧で抽象的なものほど簡潔に印象的に説明する必要があります。
シンボライズ
つぎに『シンボライズ』です。私たちは日常的に、状態や気持ちなどの視覚で確認できない抽象的な事柄を言葉や絵で的確に形容するために、新しく名付けたり、すでに言語化されている外来語をあてたり、絵文字やアイコンなどをつかって表現しています。ピッタリとくる表現はみんなが好んで使うことになり一般化してゆきます。このピッタリくる表現ということを目指すのがシンボライズだと考えてください。
印象形成とVI
ブランディングの基本は印象形成です。受け取る相手側の印象を予期して理想的に届くように見え方を設計してゆくことを行います。それを行うためには、徹底して自分たちのアイデンティティが何かを認識して、どのようにそれをシンボライズ(象徴化)させて受け手に届けるかを考えてゆきます。そしてそれを、ヴィジュアルコミュニケーションのために言葉やシンボル、色と形を使って印象を設計し視覚化されたアイデンティティをデザインしてゆきます。
VI(ヴィジュアルアイデンティティ)とは
ブランドを構成するものはアイデンティティ(理念)とそれに基づいた行動にあります。それらをヴィジュアルコミュニケーションのために可視化した、ブランドシンボルやブランドロゴ、カラーシステムやキャラクターなどのグラフィック要素、ブランドを象徴するデザイン要素をまとめてVI(ビジュアルアイデンティティ)と呼びます。
どう作り上げてゆくのか
デザインの力について説明をしてきましたが、視覚的に仕上げるグラフィックデザインの専門的な作業は最後の最後だけです。『アイデンティティ』について掘り下げ、理念を言語化することがもっともデザインの力を引き出すことに繋がります。グラフィックデザイナーはヴィジュアルコミュニケーションに対して様々な知見を持ち合わせているので、できればグラフィックデザイナーに依頼して共にブランディングを作り上げることをオススメしていますができる限りDIYでつくることを前提にしています。とくに『アイデンティティ』の部分を深く掘り下げることは事業や活動にとってもブランディングにとってもとても重要です。まずは他者へ自分たちの理念を言葉を通して伝えられるところからスタートしてみてください。