DESIGN

2021-12-10

Pollenは小さなブランディングをテーマにしたデザインやオリジナルマーチャンダイズについてのウェブサイトです。今回のテーマは『ロゴデザイン』について。よく目にするのに、そういえばそんなによく知らない。ブランディングに欠かせないロゴ。そんなロゴデザインについて少し深堀していきましょう。今回深堀するのはタイプフェイスについてです。

ロゴデザインをする上で避けて通れないのが欧文の文字デザインです。日本人の多くは学校教育で英語を学んでいるので、文法や語彙は別としてアルファベットの読み書きができる方がほとんどだと思います。しかし、審美や造形という視点でアルファベットを眺めたことがある方がどの程度いるのでしょうか?日本語の場合、読み書きの機会も多く、習字や書道などの影響からか文字の審美に関してはある一定の理解を持ち合わせている方が多いと思います。しかし、アルファベットに関しては少し事情が違う様に感じています。欧文の書体の世界はとても歴史が深いのみならず、現在進行形の粋な文字のデザインが世界各地で行われています。今回はロゴデザインをする際に役立つ欧文の文字の基本の分類を説明してゆきたいと思います。

フォントとは

日常生活の中でも、デジタル機器やソフトウェアの発達で『文字を変える』『フォントを変える』ということが比較的定着してきています。一般的に多くの人がフォントという語を使う場合、文字のカタチをさすことがほとんどだと思います。長らく印刷業の専門用語だった『フォント』という後は本来、統一された印象でデザインされた、一揃いの一つのサイズの活字のことをいいます。 各サイズのフォントや字幅や線幅のバリエーションなどを含めた統一されたデザインのフォント群のことをタイプフェイスや書体と呼びます。現在の使い方では『書体』=『フォント』となっていますが、デジタルデータ化によってサイズなどの情報が1つにまとめられたからです。欧米でも一般的な人々は書体の意味で『TYPE(タイプ)』『TYPEFACE(タイプフェイス)』『font(フォント)』と呼び、日本語では『活字』 『文字』『フォント』が同じ様な意味で使われています。

既存書体とフルスクラッチ

ロゴタイプデザインには、既存の書体を使用する場合と、一から文字をデザインする場合があります。書体のデザインはグラフィックデザインに含まれますが、タイプデザイナーという専門の職種によって作られアルファベットから記号、太さなどの様々なバリエーション含めた全てのものがデザインされます。一方、一からロゴタイプをデザインする場合は、使用する文字のみに特化させた、よりオリジナリティーと自由度の高い設計ができます。どちらも一長一短ありますが、現在では、様々なデザインの数え切れないほどのフォントがリリースされており既存の書体を利用することのメリットがとても高くなっています。

フォントを知ろう

パソコンをお持ちの方であればすでにある程度のフォントがインストールされているはずです。ワードプロセッサーやテキストの編集ができるソフトウェアでフォントの変更を試して見るとわかるはずです。特にAPPLE社のMacをお使いの場合、かなり上等なフォントがシステムにインストールされています。その様なフォントだけでも十分にロゴデザインに耐えうる文字デザインが可能なくらいです。そして、フォントはオンラインの様々なサイトで購入し使用することができます。しかし、目的に即したデザインを手に入れるためには、まず分類に関しての知識が必要になります。

フォントの分類

欧文書体はとても多くの種類が存在しています。音楽のジャンルの様にちょっとした造形的な特徴や来歴によって分類することでより目的のものが探しやすくなります。デザインアプリケーションなどでも用いられる分類を説明してゆきます。

SERIFセリフ

画線の末端に爪状のセリフがついた書体です。ローマン体ともよばれ古代ローマでこの様式の大文字が確立し碑文などへと使われたことで長く西洋の歴史の中に存在してきました。由緒のある説得力のある字形で現在も利用されている最もスタンダードな字体です。 通常、文芸作品などの出版物の本文はこの形式の書体が用いられています。

SANS-SERIF サンズセリフ

セリフの無い書体。普段私たちが目にする機会の多い現代的な形体の書体です。 フランス語で’sans’は「無い」の意味でセリフが無いという意味。 形体が簡素で、視認性が良く、同一形体の太さの展開など合理的、システマティックな近代の需要にあう書体として様々な場面で多く用いられています。

SLAB SERIF スラブセリフ

誇張された線幅、直線的なセリフが特徴の書体。工業化時代の始まりとともに広告告知などを目的とした安価な商業印刷物へと、キャッチーでインパクトのある書体デザインが求められ、その結果セリフを極端に太く持つスタイルや極端な線幅のスタイルなどが生まれました。

SCRIPT スクリプト

筆記体を活字へと置き換えたスクリプト書体。その他の書体とは異なり、続け書きによる前後の文字がつながるように工夫され、流れるような手書きの筆記体を再現したデザイン。ヘアラインの美しいカッパープレート(銅版印刷)やサインペインターなどのブラシを再現したものなど様々なテイストが存在します。

Black letter ブラックレター

フラットペンの平面のストロークが多く黒味の強い角ばった書体。ヨーロッパで中世にキリスト教の写本などに使われており、ゴシックの建築との形体の関連性もある。印刷術を発明したグーテンベルグが最初に作った書体はこのブラックレター。ドイツ周辺では日常的に現在も用いられています。

DECOLATIVE デコラティブ

装飾を目的として作られた書体。 広告や見出しなどの本文を前提としないアイキャッチを目的として作られたフォント。デジタルフォントでは、レタリングやカリグラフィーなどで行われてきた手描きやイラストのあしらわれた装飾性の強いフォントなどが豊富にあります。

ロゴデザインに必要な欧文フォントとその分類について説明してきました。良いロゴを作成するためには目的にあった文字のカタチが必要になります。既存の書体を使う際に文字デザインの分類を知っていると、とてもスムーズに目的の形に辿りつくことができます。欧文のタイプデザインの世界はとても深く、興味を持ったのであれば文字デザインについて調べてみてください。まずはパソコンにインストールされているフォントを並べてみるだけでも価値はあるとおもいます。ご拝読ありがとうございました。

TEXT by Yaha Hayashi