シンボルマークとは
シンボルとは日本語では象徴という言葉で訳します。象徴とは、直接的に知覚できない概念・意味・価値などを、それを連想させる形によって間接的に表現することです。マークは目印や記号の意味です。つまりシンボルマークの役割は見えないものを見て扱える状態にすることになります。人は、概念や印象など、とても抽象的なものとともに暮らしています。むしろ目で見て触って確認できる物事の方が少ないくらいです。社会においては、理念のような大きな考えの総体を見える形で表現する際に、ヴィジュアルの世界でも抽象的な図形が呼応しています。例えば、国のように大きなものを捉えるときシンボルと同様に国旗をよく使います。日本の日の丸、アメリカの星条旗、イギリスのユニオンジャックなど。よく考えてみると、国というもの全体を目にすることはできません。その存在は概念だからです。しかし、そこに国旗というシンボルがあるだけで、国家のシステムやそこで暮らす人々の言葉や歴史や文化などを1つの概念として単純に捉えることができます。それは国名を補完するような直接的なイメージのパートを担い親近感を持つようになるまで知覚と結びつきます。ロゴマークとして利用される以前からシンボルマークというものは存在し、私たちは、現代の社会でシンボルに囲まれて暮らしています。そのようなシンボルの世界を少し深堀してゆきましょう。

ロゴタイプのシンボルマーク

現代社会を代表するロゴ(シンボルマーク)といえば、NIKE と APPLEです。
世界中の誰もがこのシンボルマークを見て社名が言えるはずです。そして多くのイメージや印象を含むシンボルとなっています。NIKEは、速さや軽やかさ、躍動感などスポーツで得られる感覚と強く結びつく形態を持ち、身体性をもって限界に挑む姿勢の象徴として認識されています。Appleはリンゴの持つ直接的な意味から離れて、先進性やテクノロジー、イノベーション、クリエイティブの象徴として機能しています。
聖なるシンボルマーク

十字架はキリストの磔刑の刑具として、もっとも重要な宗教的象徴とされるものです。信者は十字架に向かって祈り、十字架を身に付けるほか、指を用いて十字を描くなど、十字を崇敬の対象としています。西洋世界の基礎となる文化の多くはキリスト教と強い関係にあります。2000年以上もの間信仰され20億人を超える信者をもつ世界最大の宗教であり、そのシンボルが十字架です。造形的にも、縦と横、水平と垂直の単純な組み合わせはもっとも強い記号的な特性をもっています。
悪なるシンボルマーク

鉤十字・スワスティカ・ハーケンクロイツと呼ばれるアドルフ・ヒトラーが率いる全体主義国家ナチスドイツのシンボルマークです。第二次世界大戦中にヨーロッパ全土を恐怖に陥れ、ホロコースト(ユダヤ人の迫害および大量虐殺)を行なった西洋近代史上最悪の国家の象徴です。現在も多くの国で公共の場での展示や使用を禁止されています。造形的な単純さから様々なバリエーションが可能ですが、類似する表現も強く否定されているので絶対に参考にしないでください。
西洋紋章coat of arms

西洋の紋章は、COAT OF ARMS と呼ばれ、中世のヨーロッパ以来主に貴族社会において用いられてきた。氏族・団体・地方などを識別し特定する意匠です。紋章学によって体系化され、エスカッシャンと呼ばれる盾(シールド)を中心に紋章記述と呼ばれる図案構成のシステムにより記述されています。さらにイギリスなどでは、紋章官と呼ばれる役職と紋章院と呼ばれる紋章を管理する国家機関が存在しています。現在でもヨーロッパのシンボルデザインに強く影響を残してます。
家紋

家紋は個人や家族を識別する日本における紋章です。241種に分類され5116種類の個別の家紋が存在します。鎌倉時代に普及し始め武家社会に定着してゆき、江戸時代には一般庶民にも広がりました。有名なものでは、天皇及び皇室の使用している菊紋は、国のシンボルとしてパスポートなどにも利用されています。また、家紋を企業のコーポレートアイデンティティとして利用する例もあります。三井グループ、明治屋、キッコーマンなどが企業のロゴデザインに利用しています。
モノグラム

モノグラム monogram は2つ以上の文字や記号を組み合わせて1つの記号を形成した文様です。イニシャルや単語の頭文字を組み合わせてつくられることが多くシンボルとして使用されます。有名なものにはルイビトンLOUIS VITTON のLVを重ねたものやNYヤンキースのNYを重ねたものなどがあります。
ロゴデザインとゆかりの深いシンボルマークについて説明してきました。。西洋の近代的なデザインのシンボルマークは抽象的な形態のものが多くありますが、感覚的に捉えられない場合も来歴や意味などに注目してみるととても面白い発見があります。ロゴデザインは小さなブランディングを行うためにとても重要になります。良いロゴを持つことで、ロゴを起点として様々な展開を産むことができるようになるからです。何となく眺めているロゴを少し深堀して見るとその働きが見えてくると思います。ご拝読いただきありがとうございました。